平成30年の民法改正により、相続の実務において非常に重要な制度が新設されました。
それが「特別寄与制度」です。
これまで、被相続人の介護や事業の手伝いなどに尽力してきた相続人ではない親族は、原則として相続財産を受け取ることができませんでした。
しかし改正後は、一定の要件を満たせば、相続人に対して金銭の支払いを請求できるようになっています。
目次
特別寄与制度とは?【制度の全体像】
特別寄与料制度の趣旨
特別寄与制度とは、
被相続人の財産の維持・増加について特別の寄与をした「相続人以外の親族」が
相続人に対して金銭請求できる制度
です(民法1050条)。

平成30年民法改正による特別寄与の改正前と改正後の比較
改正前(平成30年改正前)
- 相続できるのは相続人のみ
- 被相続人の介護や事業を手伝っていても
相続人でなければ原則として何も取得できない - 「嫁の介護」「孫の貢献」は法的評価が困難
→不公平感が生じやすかった
改正後(平成30年改正後)
- 相続人でない親族でも
被相続人に対して特別の寄与があれば
特別寄与料を金銭で請求可能 - 相続分ではなく
相続人に対する金銭請求権として整理
→介護等の貢献が法的に評価されるようになった
特別寄与料を請求できる人【対象者】
対象となるのは「相続人ではない親族」
特別寄与料を請求できるのは、次の要件を満たす人です。
- 被相続人の親族であること
- 相続人ではないこと
具体例
- 被相続人の長男の妻(いわゆる嫁)
- 被相続人の孫
- 被相続人の兄弟姉妹(相続人でない場合)
※ 内縁の配偶者や友人などの親族以外は対象外です。
「特別の寄与」とは何か?
単なる手伝いでは足りない
法律上求められるのは、「特別の寄与」です。
つまり、
- 日常的・形式的な家事手伝い
- 親族として通常期待される範囲
を超える貢献が必要です。
認められやすい寄与の典型例
- 長期間にわたる無償の介護
- 被相続人の事業への継続的な労務提供
- 財産管理・借金返済への実質的関与
特別寄与料の請求方法【流れと期限】
請求先は「相続人」
特別寄与料は、
- 家庭裁判所に直接申し立てるのではなく
- まず相続人に対して請求します。
請求の流れ(原則)
- 相続開始
- 相続人との協議
- 協議が整わない場合
→ 家庭裁判所へ調停・審判申立て
請求期限に注意
特別寄与料には期限があります。
- 相続開始及び相続人を知った時から6か月
- または 相続開始から1年
※ 実務上、見落とされやすい重要ポイントです。
特別寄与料の金額はどう決まる?
明確な算定基準はない
特別寄与料の額は、
- 寄与の内容
- 期間
- 被相続人の財産額
- 相続人との衡平
などを総合考慮して決まります。
遺産分割との関係
特別寄与分は「遺産分割」とは別枠
- 遺産分割
→ 相続人同士 - 特別寄与料
→ 相続人以外の親族からの金銭請求
そのため、
- 遺産分割協議書に必ずしも記載されない
- 実務ではトラブルの火種になりやすい
という特徴があります。
まとめ|特別寄与分は今後ますます重要に
- 高齢化社会で介護の担い手が多様化
- 「嫁の介護問題」が顕在化
- 相続実務における紛争予防の観点からも重要
※本記事は、平成30年民法改正による特別寄与制度について、一般的な解説を行うものです。
実際に特別寄与が認められるかどうかは、具体的な事実関係や証拠等を踏まえて判断されるため、個別のご相談については専門家に直接ご確認ください。
