2026年4月、政府はデジタル遺言制度の創設を含む民法改正案を閣議決定しました。
これまで遺言は「手書き」が原則でしたが、ついにデジタル作成が可能になります。
相続実務にとって大きな転換点となる改正です。
デジタル遺言とは?(保管証書遺言)
デジタル遺言とは、2026年の民法改正で新しく創設された
電子データで作成・保管する遺言制度です。
正式名称は「保管証書遺言」といいます。
これまで遺言といえば、紙に手書きするものが一般的でした。
しかし高齢化が進む中で、
- 手書きが大変
- 作成方法が分からない
- 書いても紛失してしまう
といった理由から、遺言を作らない人が多いという問題がありました。
そこで国は、
もっと簡単に・安全に遺言を作れる仕組みとして、デジタル遺言を導入しました。
一言でいうとどんな制度?
デジタル遺言をとても簡単に言うと、
1.スマホやパソコンで作れる
2.法務局が保管してくれる
3.新しい遺言の形
です。
これまでの遺言は「紙中心」でしたが、
今後はデータ中心の時代へ移行することになります。
なぜデジタル遺言が必要だったのか
従来の自筆証書遺言は
・全文手書き
・押印必須
・間違えると無効
という厳しい要件があり、
遺言を作らない大きな理由になっていました。
特に高齢者にとって
「長文を手書きする」ことは大きな負担でした。
そこで政府は
遺言作成のハードルを下げるための制度改正を進めました。
デジタル遺言作成の流れ
デジタル遺言は、単にデータを送信すれば完成するものではありません。
本人確認と法務局による保管までを含めて、はじめて正式な遺言として成立します。
ここでは一連の流れをまとめて解説します。
① パソコン・スマホで遺言内容を作成
まず最初に、遺言の内容をデータで作成します。
- パソコン(Wordなど)
- スマートフォン
- タブレット
などで、通常の文章作成と同じ感覚で入力できます。
手書きは不要となり、修正や書き直しも簡単に行えます。
この段階では、まだ「遺言の原案」の状態です。
② 法務局で本人確認を受ける
次に、遺言者本人であることを確認する手続を行います。
方法は次の2つが予定されています。
- 法務局での対面確認
- Web会議によるオンライン確認
デジタル遺言では、なりすまし防止のため
本人確認が非常に重要な手続となります。
③ 遺言内容を口頭で確認(口述)
本人確認の際、遺言者は職員に対して
遺言の内容を口頭で説明(口述)します。
これは
- 本人の意思で作成されたか
- 内容を理解しているか
を確認するための重要な手続です。
この仕組みにより、デジタルであっても高い安全性が確保されます。
④ 法務局がデータを正式保管
本人確認と口述が完了すると、
遺言データは法務局で正式に保管されます。
これにより
- 紛失しない
- 改ざんされない
- 相続開始後に確実に発見される
という大きな安心が確保されます。
ここまで完了して、はじめて正式なデジタル遺言が成立します。
デジタル遺言は
作成 → 本人確認 → 口述 → 法務局保管という手続を経て成立する、
安全性の高い新しい遺言制度です。
現行制度との比較
| 項目 | 自筆証書遺言 | デジタル遺言 |
|---|---|---|
| 本文作成 | 手書き必須 | PC・スマホOK |
| 保管 | 自宅・紙保管 | 法務局データ保管 |
| 紛失リスク | 高い | ほぼなし |
| 改ざんリスク | 高い | 極めて低い |
| 本人確認 | なし | 口述確認あり |
| 押印 | 必須 | 不要 |
自筆証書遺言の上位互換と言われています。
まとめ
デジタル遺言の創設は、遺言制度の歴史的転換です。
これまでの「手書き中心」の制度から、デジタル時代の遺言制度へ大きく変わろうとしています。
相続トラブルを防ぐためにも、今後の制度動向に注目していく必要があります。
※今回の段階は「閣議決定」です。今後、国会で成立・施行される予定です。
