相続放棄をしたら不動産の管理責任はどうなる?
【法改正を分かりやすく解説】
「相続放棄をしたのに、空き家の管理はしなくてはいけないの?」
このようなご相談は、司法書士として非常によく受けます。
実は、民法改正により相続放棄後の不動産の管理責任は大きく変わりました。
この記事では、法律の知識がない方にも分かるように解説します。
目次
相続放棄後の不動産管理責任【結論】
相続放棄をした人は、原則として不動産の管理責任を負いません。
ただし、その不動産を「現に占有している人」だけは例外となります
改正前はどうだったの?
改正前の民法では、次のような扱いでした。
- 相続放棄をしても
- 次の相続人や国が管理を引き継ぐまで
👉 不動産の管理義務が残る
そのため、
- 空き家の倒壊防止
- 雑草や老朽化への対応
- 近隣トラブルの回避
などを、相続放棄したにもかかわらず求められるケースがありました。
法改正で何が変わったのか?
ポイントは「占有しているかどうか」
現在のルールは、非常にシンプルです。
| 状況 | 管理責任 |
|---|---|
| 不動産を占有していない | 負わない |
| 不動産を現に占有している | 一定の責任あり |
「現に占有している」とはどういう意味?
ここは誤解が多いため、具体例で説明します。
占有していないケース(管理責任なし)
- 亡くなった方が住んでいた家に
→ 相続人は住んでいない - 空き家で
→ 鍵を管理していない
→ 出入りもしていない
👉 この場合、管理責任は負いません。
占有していると判断されやすいケース(注意)
- 相続放棄後も自分が住み続けている
- 家財道具を置いたまま使用している
- 鍵を管理し、自由に出入りしている
👉 「現に占有している」と判断され、一定の管理責任を負う可能性があります。
占有者が負う責任の範囲は?
占有者といっても、重い義務が課されるわけではありません。
求められるのは、
- 明らかに危険な状態を放置しない
- 倒壊や事故につながる恐れを防ぐ
といった、最低限の安全確保(保存行為)です。
なぜこのような改正が行われたの?
理由は明確です。
- 相続放棄は「最初から相続人でなかった」と扱われる制度
- それなのに管理責任だけ残るのは不合理
という批判が強く、
一般の相続人を過度に縛らない方向へ見直されたのです。
司法書士として特に注意してほしいポイント
- 相続放棄=完全に無関係、とは限らない
- 「占有しているかどうか」の事実確認が重要
- 鍵・居住・使用状況は必ず整理する
相続放棄の手続きと同時に、
不動産との関係をどう切るかまで考える必要があります。
相続放棄でお悩みの方へ【司法書士からのメッセージ】
相続放棄は、申述書を提出して終わりではありません。
特に不動産がある場合、
「占有にあたらないか」「管理責任が残らないか」を
専門家と一緒に確認することが大切です。
判断を誤ると、
思わぬ責任を負ってしまう可能性もあります。