長年動かしていない会社について「そのまま放置している」というご相談をよくいただきます。
実は株式会社は、一定期間登記をしていないと「みなし解散」されてしまう制度があります。
今回は司法書士の視点から、
・休眠会社とは何か
・みなし解散の仕組み
・解散された会社の復活方法
を分かりやすく解説します。
休眠会社とは?
休眠会社とは、一般的に「長期間活動していない会社」を指します。
法律上の明確な定義はありませんが、登記実務では次の状態が該当します。
・事業活動をしていない
・役員変更などの登記を長年していない
特に問題になるのが
最後の登記から12年間何もしていない株式会社です。
みなし解散とは?
株式会社は、最後の登記から12年間何も登記していないと
法務局により解散したものとみなされます。
■ みなし解散の流れ
① 法務局から官報公告・通知
② 2か月以内に「まだ事業を続ける」届出が無ければ
③ 自動的に解散扱いになります
重要なのは、何もしないと勝手に解散になるという点です。
みなし解散されるとどうなる?
みなし解散は、法務省が行う「休眠会社整理」により、
一定期間登記をしていない会社を整理する制度です。
会社が申請しなくても、法務局が職権で解散状態に移行させる点が最大の特徴です。
官報公告後、届出が無い会社は自動的に解散扱い
休眠会社整理では次の流れで処理されます。
① 法務大臣による官報公告 ※毎年10月頃
② 管轄法務局より、官報公告がされた旨を会社へ通知発送
③ 2か月以内に「事業廃止していない旨」の届出が無されない
④ 解散したものとみなされる 解散登記が職権でなされる
つまり、何もしないと法律上自動で解散状態へ移行します。
法務局が職権で解散登記を入れる
届出がなかった会社については、
会社の申請なしで法務局が登記を行います。
登記簿には次の内容が記録されます。
・解散の登記(みなし解散)
・清算人就任の登記(みなし)
この登記は会社の意思とは関係なく記録されるのが特徴です。
登記簿に「みなし解散」の履歴が残る
登記簿には、
「令和○年○月○日 みなし解散」
という形で履歴が記録されます。
この記録は消えることはなく、
会社の登記履歴として残り続けます。
https://www.moj.go.jp/content/001381530.pdf
※ 参考 法務省のリーフレット
休眠会社は復活できる?
結論から言うと、復活できます。
ただし期限があります。
■ 復活できる期限
みなし解散から3年以内
この期間を過ぎると、通常の方法では復活できなくなります。
会社を復活させる手続き(会社継続)
みなし解散された会社は、
「会社継続」の手続きにより元の株式会社へ戻すことができます。
ここでは実務の流れを順番に解説します。
① 会社継続ができる期限を確認する
最初に確認すべき重要ポイントです。
会社継続ができるのは
みなし解散から3年以内のみ
この期間を過ぎると会社継続はできず、
新しく会社を作り直す必要があります。
まずは登記簿で
「みなし解散の日」を確認します。
② 株主総会で「会社継続」を決議
会社を復活させるには、株主総会で正式な決議が必要です。
決議内容は主に次の2点。
・会社を継続すること
・取締役等の役員を選任すること
※みなし解散により取締役は退任扱いのため、
役員選任は必ず必要になります。
③ 取締役・代表取締役を選任
会社継続後は通常の株式会社に戻るため、
新たに役員を選任します。
通常は次の流れになります。
・株主総会で取締役選任
・取締役の互選で代表取締役選定
※取締役会設置会社は取締役会決議
ここが通常の役員変更登記と大きく異なるポイントです。
「再任」ではなく新規就任扱いになります。
④ 本店・役員の現状確認
長期間放置されている会社では、
次の事項が現状とズレているケースが多くあります。
・本店住所
・役員住所
・商号表記
・目的内容
そのため実務では、会社継続と同時に
本店移転や役員変更を同時申請することが非常に多いです。
⑤ 会社継続の登記申請
準備が整ったら、法務局へ登記申請を行います。
通常は次の登記を同時申請します。
・会社継続登記
・清算人退任登記
・取締役就任登記
・代表取締役就任登記
(必要に応じて本店移転など)
実務では複数登記の一括申請になります。
⑥ 登記完了 → 株式会社として復活
登記が完了すると、会社の状態は
解散会社 → 通常の株式会社
へ戻ります。
登記簿には
・会社継続の登記
・新役員の登記
が記録され、正式に復活します。
実務ポイントまとめ
・会社継続できるのは解散後3年以内
・株主総会の会社継続決議が必須
・役員は新規就任扱いになる
・会社継続と役員登記を同時申請する
・登記完了で通常の株式会社へ復活
まとめ
休眠会社のみなし解散は、
「何もしていないだけ」で突然起きてしまう登記上の大きなイベントです。
そして一度みなし解散になると、復活には次のような手間が発生します。
・株主総会の開催
・役員の再選任
・会社継続登記
・複数登記の同時申請
・税務署や金融機関への対応
つまり、通常の役員変更登記とは比較にならない手続き量になります。
放置していると「過料」のリスクもあります
役員変更登記などは、本来
変更から2週間以内に登記申請が必要です。
長年登記をしていない会社では、
会社継続と同時に役員変更登記を行うことになり、
その結果、
**過料(罰金のようなもの)**が科される可能性があります。
実務では数万円〜十数万円になるケースも珍しくありません。
「放置していた期間が長いほど負担が増える」
という点は非常に重要です。
みなし解散後の復活は「早いほど簡単」
会社継続は
みなし解散から3年以内という期限があります。
期限が近づくほど、
・書類収集が困難
・株主・役員の所在不明
・金融機関対応が複雑化
など、手続きの難易度が上がります。
「そのうち復活させよう」と思っている間に、
手遅れになるケースも実際にあります。
休眠会社のご相談は司法書士へ
・昔作った会社をもう一度使いたい
・みなし解散されているか分からない
・登記を長年放置している
・過料が不安
このような場合は、早めの確認が重要です。
休眠会社は、
早く相談するほど手続きがシンプルで費用も抑えられます。
気になる方は、まずはお気軽に司法書士へご相談ください。
